U.S.A., 2003/06/06
米国デュポン社、MITソルジャー・ナノテクノロジー
研究所(新設)の設立パートナーに
~戦場で戦う未来の兵士の
安全と保護を向上させる科学を提供~
<参考資料>
米国デュポン社(本社:デラウェア州ウィルミントン、会長兼最高経営責任者:チャールズ・O・ホリデー・ジュニア)は、5月22日(米国時間)にマサチューセッツ工科大学(MIT)が本格的な活動を開始した研究開発施設の設立パートナーとなります。
米国陸軍研究オフィスとMITは、このほど、陸軍におけるナノテクオロジー(微小工学)の応用を専門に研究するためのソルジャー・ナノテクノロジー研究所(ISN)を開設しました。同研究所の予算は5年間で5000万ドル、約150名の職員を有し、敷地面積は2,600平方メートルにおよびます。同研究所は、脅威の感知、脅威の無力化、治療の自動化、隠蔽、人的能力の向上、兵士の携帯物の軽量化、という6つの優先課題を対象に新技術開発を行い、米軍兵士の「保護と生存性」の向上を目標としています。中でも標準で45キロほどにもなる装備を装着する前線の兵士にとって、携帯物の軽量化は重要です。同研究所ではこれを約20.4キロにまで軽量化することを目標としています。
米国防総省では、アフガニスタンなどの予測できない険しい地形でも短時間のうちに配備ができるよう、兵士の柔軟な対応力と自給自足力を高めることを目指しており、ハイテクを駆使した軍服や装備がその大きな要素となっています。
デュポンはISNの一次募集に参加し、設立企業パートナーに選ばれました。兵士を戦場で保護し、その姿を隠し、かつ快適性の高い未来の軍服や装備を実現するため、デュポンではナノテクノロジー研究を進め、軽量の保護分子素材を開発しています。デュポンの研究者が開発する画期的なナノテクノロジー系素材は、革新的で保護性能の高い軽量の軍服や「賢い」装備等の戦場製品に用いられます。開発の可能性のある素材の「賢い」機能としては以下が挙げられます。
- 変化する環境の中でカムフラージュのために自在に色を変化させることのできる素材。戦場で兵士の姿を見えなくする光の操作も可能。
- 戦場で兵士が負傷した場合、シャツの袖を副木に、ズボンの脚をギプスに変えることのできる素材。
- 指令本部から遠隔の戦場の各兵士の身体状況や場所がわかるセンサーを内臓させた素材。
- 軍服の繊維に直接、無線通信素材を織り込むことで兵士の柔軟な対応を可能にし、装備の軽量化を実現する素材。
- 自動的に投薬し、遠隔の医師に生命兆候(脈拍、呼吸、体温)を伝える素材。医師は戦場の負傷兵士の治療優先順位を決めることができる。
- 弾道、榴散弾などによる衝撃からの保護およびのシステムを実現する素材やシステム。
- 化学的、生物学的な保護素材およびシステムを実現する素材。
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ISNの企業パートナーには、デュポンのほか、レイセオン社、パートナーズ・ヘルスケア社、ダウ・コーニング社、トリトン・システムズ社、デンドリティック・ナノテクノロジーズ社、ノーマディクス社、カーボン・ナノテクノロジーズ社、W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社が選ばれました。
「この提携は、メンバー各社がプロジェクトとの関連性を判断し、その企業独自の機会を創出、もしくは商業的な可能性を提供することで、それぞれが異なる特定の役割を果たして初めて成功するものである、とサイエンスカンパニーであるデュポン社は理解している。ナノテクノロジー研究所は、米国陸軍の関連に対する判断力、MITの莫大な研究力、デュポンなどの企業パートナーが持つアイデアを具体的な商品に変える力という3本柱の強みを結ぶ。3者が力を合わせれば、この安全と保護のための重要なプロジェクトは素晴らしい成果を上げることができるだろう」と、トーマス・M・コネリー米国デュポン社最高科学技術責任者は語っています。
「当研究所の使命を果たす上で、企業パートナーは重要な役割を担っている。基礎科学を実際の兵士が実際に使う製品に応用するため、技術転移する上でこうした企業の専門技術や知識が必要だ」とネッド・トーマスISN所長は語っています。
最終的に米国兵士の未来の軍服が完成するのはまだ数年先のことになるが、、研究者たちはISNの研究成果が間もなく民間でも生かされるようになると期待しています。すでに強磁性物質はエンジンの振動抑制に使われています。強度を高めた素材や新マイクロフォトニック・デバイス分野でも新たな商業用途が開発されそうです。また、デュポンの研究者たちは、兵士のために開発しているナノテクノロジーを生かした革新的な軍服が、将来的には警官、消防士などの非常事態に従事する人々を守ることにもなるだろうと期待しています。
ナノテクノロジー(微小工学)は、分子および原子レベルで化学や生物学を扱う科学技術です。分子構造を創出または修正して、新たな可能性を秘めた素材、デバイス、機械、物体を創り出す知識や技術もこの分野に含まれます。「ナノテクノロジー」という名称は、1メートルの10億分の1を表すナノメーターに由来します。
質の高い火薬を米国内に供給する必要に迫られていたトマス・ジェファーソン大統領は、1802年、デラウェアで事業を開始したデュポンの創設者E.I. デュポンに黒色火薬の製造を依頼しました。以来、デュポンと米国政府との関係は、200年にもわたり続いています。ニール・アームストロング船長が月面に降り立ったときに着用していた宇宙服にも、25層のうち23層にデュポンの素材が使われています。
1802年に創立されたデュポン社は、米国デラウェア州ウィルミントンに本社を置くサイエンス・カンパニーです。世界70カ国余りに拠点があり、エレクトロニクス、輸送、住宅・建築、通信、農業、栄養食品、安全・保護、アパレル分野で、科学的な発見や発明を基盤に、人々の生活を豊かにする製品やサービスを提供しています。
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注)®はデュポン社の登録商標です。